認知症が治ったこと

レビー小体型認知症が完治するまで③

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認知症が治ると信じて

ケアマネージャーさんから、「レビー小体型認知症の30%は治る可能性がある」と聞いてから何か出来ることは無いかと考える日々でしたが、認知症の症状が出始めてからは何所かに行ったり、一緒に何かをしたりすることが無くなったので、もう一度母の好きなことを色々やらせてあげようと思いました。

母の好きなもの

花や植木の土いじり

母は花を植えたり野菜を植えたり土いじりが好きで、ホームセンターに苗木を買いに行ったときは、1時間ぐらいは平気で見て回っています。買ってきた苗木は、自分で土を入れ替えたり肥料をやったりして、水やりも小まめにしていました。ただ、症状がでてからは不思議とやらなくなりましたね。

そういうこともあり一度、植物園に行ってみることにしました。まだ少し歩くことが困難であまり乗り気ではないような気もしましたが、バラ園などもいってみました。ただ、それでも表情は嬉しいという感じはなく、何となく私の言うとおりにしているという感じだけを覚えています。

裁縫

元々若い時には針仕事を職業にしていたこともあり、浴衣くらいだと簡単に作ってしまうこともありましたが、症状が出てからはやはり何もしなくなりました。私が裁縫箱を出してみたり「何か作らないの?」って聞いても相変わらず箱を引っくり返して、また入れ直すことを繰り返すだけです。

ただデイサービスでは、あまりやったことがない編み物や小物作りなどをしているようで、「介護サービスで症状が良くなることもある」ということを、改めて感じるようになりました。

Sho’s
Sho’s

母が一点を見つめて裁縫箱を引っくり返してから入れ直すという行為が、私にとってすごく可愛くて愛らしいいう感覚になり、「もう母がこのままの症状でもかまわない」と思うことさえありました。

料理をすること

症状が出る前は毎朝私の弁当を作ってもらいましたし、3食ともいつも凝った料理を作ってくれいていたので、私にとっては自慢の母親でした。ただやはりこの時は料理が出来ないというか、包丁も危ないので食材のカットなどは私がして、二人でやるようにしてみましたが、突然今まで作ったことがないような物をやり始めたりするので驚くというか、楽しかったこともありますね。

完治するきっかけになったこと

舞踊を見に行ったこと

認知症の症状が出る前は、踊りを習ったり盆踊りや地域のイベントで踊りをすることがよくありました。ただ、その時の状態だとさすがに踊りをすることは出来ないと思いましたが、たまたま知り合いから舞踊イベントの情報をいただいたので、早速行ってみることにしました。

場所が車で1時間くらいかかるところの大きなコンサートホールでしたが、席についてからは何かを思い出したように、じっと舞台のほうを見つめていたのを覚えています。帰りの車中でもニコニコしながら、いつもより口数が多くなり、いかにも機嫌がいいように見えました。

そして、のちに自分の中ではこれが大きなきっかけになったのではと感じることになります。

突然、母の口から出た言葉

「ここ最近のことが思い出せないの」

舞踊を見に行った日から何か機嫌がよくなったような感じがしましたが、歩くことや話す口調がまだそんなに変わった様子ではありませんでした。ただ、何かが以前と違うということを、おそらく私しか分からないと思いますが感じることができました。

そして、それから一週間程度たったある日に母の口から、

「ここ最近のことが思い出せないの。踊りを見に行ったことは覚えているのだけれど、それ以前のことが思い出せないの」

これにはびっくりしましたが、私は認知症の症状が悪いほうに行ってるのではと思ったので、いろいろ質問してみました。

私

踊りを見に行ったことは覚えている?

母

うん、はっきりと覚えているの

私

幻覚が見えていることは覚えている?

母

はっきりとは覚えてないけど、何となく・・・

私

デイサービスに行っていることは?

母

それは覚えているわ!

そして、症状が出てからは今までは時間を確認することはなかったのに、何かを思い出したように時計を見て、「もう晩御飯の時間ね。何か作らなきゃ」といってキッチンに立って調理を始めました。ここ最近では全くなかった光景です。

認知症は完治することが出来る

平穏な日常が戻るまで

それからは幻覚や妄想といった症状はまったく出ないまま、1か月くらいで歩くことも元に戻っていきました。最初の症状が出てから5か月くらいですが、裁縫や土いじりも出来るようになって、今までのことが嘘のような平穏な日常が戻りました。

ケアマネージャーさんにも母をずっと見てきてもらっていましたが、「こんなに症状が無くなっていく人は見たことがありません」と言っていました。ただ、母のことを知らない人にこの話をすると「初めから、認知症ではなかったのでは?そんな簡単に認知症が治るはずがない」と言われることもありました。

でも、私にとってそんなことはどうでもよくて、母が元に戻ったこと、仕事を休ませてくれた会社や心配していただいた方々には、本当に感謝しています。

あれから10年

認知症の完治からおよそ10年が経過しましたが、これまでは症状が出たりするようなことはなく、今は90代も半ばなのでそれなりにもの忘れがあったり、同じ話を何度もすることはありますが、健やかな毎日を過ごせています。

今あの時のことを思い出すと、親戚や周りの人から「施設に入れたほうが良いのでは?」ということを何度も言われましたが「やれることをやって、ダメならそうします」といつも答えていました。

母の場合は運がよかったこともあると思いますし、長年にわたり認知症に苦しんでいる人がたくさんいるかと思いますが、少しでも何かを感じていただけることがあれば、私としては嬉しいかぎりです。

Sho’s
Sho’s

いつまでも元気な母親でいれくれますように

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