高齢者の視力低下と生活への影響
高齢者の視力低下は、加齢に伴う避けられない現象の一つですが、その影響は日常生活や認知機能にも深く関わっています。視力低下がもたらす転倒リスクや、それに対する周囲からのサポート方法についても検討し、高齢者が安心して生活できる環境づくりが大切でしょう。
私の母も、加齢による視力低下や緑内障からくる視野狭窄で、日常生活に大きな影響を受けていますので、私自身のことも含めて、改めて”目”のことを考えてみたいと思います。
高齢者の視力低下のメカニズムと影響
視力低下が進行するメカニズム
高齢者における視力低下は、さまざまなメカニズムによって進行します。主な要因には、加齢や病気の影響が挙げられますが、糖尿病による網膜症や視神経の障害なども、視力に直接的な影響を与えると言われています。さらに、白内障や緑内障などの眼疾患も視力低下を引き起こしますが、これらの病気は、視野の狭窄や見えにくさを伴い、高齢者の日常生活に大きく影響します。また、視力が低下することで、認知機能にも悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
視野の狭窄を検査する視野検査
若い世代の人には、あまり縁がないかも知れませんが、視野検査は専用の測定器機を用いて行います。視力検査のように片目ずつ測定しますが、まず、測定器に顔を固定してから覗いてみると中は真っ白な空間があり、中心に注視する点だけが見えます。測定が始まると小さな点の光がどこかに一瞬だけ光るので、見えた場合は手元に持ったボタンを押します。
私も50歳を過ぎてから眼圧が高いと言われ、この視野検査を受けたことがありますが、中心をずっつ見続けて、どこで光るか分からないものに集中しなければいけませんので、視野の広さもそうですが、集中力がないと正確な測定は出来ないかも知れませんね。ちなみに、直近の視野検査では、両目とも上部のほうの見え方に視野欠けが見られましたので、上のほうが見えにくいと言うことになりますね。
私の母の場合は、緑内障ということで視野はかなり狭いですが、検査をすると「視野ゼロ」と言う結果になってしまいます。これは年齢的に、測定器の小さな光を追いかけることが出来ない結果なのだと思います。
高齢者の視力低下が日常生活に及ぼす影響
視力が低下すると、高齢者の日常生活にさまざまな影響を及ぼします。まず、目が見えにくくなることで移動が困難になり、転倒のリスクが大きくなったり、さらには、視力の低下により趣味や社交活動にも制約をもたらします。また、認知機能が低下する可能性もありますので、高齢者の視力低下への理解とサポートは大変重要なのだと感じます。
母も、足腰が丈夫なこともあって90歳初めまでは一人で外出も出来ていましたが、視力が低下してからは、一人で出来ていたことが困難になっていきました。今では、手前が見にくいので、食事が手探りになることもあります。
高齢者の視力低下の主な原因と対策
高齢者の視力低下の主な原因
高齢者によく見られる視力低下の主な原因には、白内障、緑内障、そして糖尿病による網膜症が挙げられます。白内障は、水晶体が濁り視力が低下する病気ですが、高齢者の多くがこの病にかかり、手術によって視力を回復するケースもあります。次に、緑内障は、眼内圧が異常に高くなることで視神経を損傷し、視野が狭くなることがあります。また、糖尿病網膜症は糖尿病の合併症として発症し、網膜が傷つくことが原因で視力が低下します。
母も、80歳くらいの時に白内障の手術をしましたが、術後は劇的に見えるようになった分、、まぶしい光が苦手になったということもありました。
視力低下を防ぐための具体的な対策
高齢者の視力低下を防ぐためには、まず、定期的な眼科検診を受けることが大事だと思います。異常を早期に発見することで、適切な治療を行うことが可能です。また、紫外線対策としてサングラスを使用することや、目に優しい食事を心掛けることもおすすめで、特にビタミンAやルテインが豊富な食品を摂取することが、目の健康に寄与すると言われていますね。
私自身も軽度の白内障と言われていて、医師からサングラスを勧められましたが、色の濃すぎるサングラスは瞳孔が開いてしまい、かえって良くないようです。ちなみに、医師おすすめは、オレンジ色のサングラスだそうで、瞳孔が開きにくいそうです。
普段の生活でできる視力保護法
日常生活の中でできる視力保護法には、いくつかの方法があります。まず、適切な照明を確保することが大切です。暗い環境では目が疲れやすくなるため、十分な明るさの中で作業を行うことを心掛けましょう。また、パソコンやスマートフォンを使う際は、定期的に目を休ませることが重要です。20-20-20ルール、つまり20分ごとに20フィート(約6メートル)離れたものを20秒間見る方法も効果的です。さらに、目にやさしい食事を心掛け、栄養素をしっかり摂取することも視力維持には欠かせません。これらの手軽な工夫を取り入れることで、視力を守ることができると言えるでしょう。
高齢者の視力低下と転倒リスク
なぜ視力低下が転倒を引き起こすのか
視力が低下すると、周囲の状況を正確に把握するのが難しくなります。その結果、段差や障害物を見逃してしまい、転倒のリスクが高まります。特に夜間に視力が低下する高齢者は、暗い環境での移動が非常に危険になりますので、外出は明るいうちに済ませましょう。また、視力の低下により、バランス感覚や運動能力にも影響が出るため、細かな動きができずに転倒しやすくなります。
母は、片目がほとんど見えないので、何かにつかまらないと、立っていられなくなるような感じですね。
高齢者の転倒を防ぐための対策
高齢者の転倒を防ぐための対策として、まずは周囲環境の改善が重要です。家の中の不要な物を片づけ、道を平坦に保つことで転倒のリスクを減少させます。また、適切な照明を設置し、暗闇での視認性を向上させることも効果的です。さらに、運動を取り入れて筋力やバランスを鍛えることも大切で、こうした取り組みを通じて、高齢者の安全な移動を保つことができます。
気が付いた時には進行している目の病気
私自身の経験として、50代前半に日勤と夜勤の繰り返しで、軽度の「眼底出血」を起こし、それをきっかけに眼科に通うようになりましたが、今では眼圧も正常で視野検査でも、日常生活に影響を及ぼすほどではないと、医師からは言われています。目の病気は、なかなか本人が気づきにくいと言うこともあり、分かったときには進行していることがありますので、50歳を過ぎたら眼科で検査をしたほうがよいでしょう。
また、高齢者においては緑内障などの進行が早くなる場合がありますので、定期的な診察や検査を行うよう、家族や周囲の人が見守ってあげてほしいと思います。