介護サービスにおける地域差
介護サービスにおける地域差とは
(介護保険サービス費用)
第1号被保険者(注1)1人当たり介護保険サービス費用を都道府県別に見ると、徳島県の309,508円から埼玉県の182,515円まで約1.7倍の差がある(全国値236,964円)。全体としては、九州、中国、四国地方で高く、関東、東北地方が低いという傾向にある。介護保険サービス費用のうち、居宅サービス(注2)費用について比較すると、青森県の151,272円から茨城県の94,560円まで約1.6倍の差がある(全国値120,217円)。また、施設サービス(注3)費用について見ると、徳島県の174,901円から埼玉県の83,826円まで約2.1倍の差がある(全国値116,747円)(注1)介護保険制度の被保険者には、65歳以上の者を対象とする第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者を対象とする第2号被保険者がある。ここでは第1号被保険者を対象に分析を行う。
(注2)居宅サービスとは、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、通所介護などをいう。
(注3)施設サービスとは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老人保健施設)及び介護療養型医療施設への入所サービスをいう。
地域差が引き起こす介護保険の影響
介護保険の地域差は、高齢者が受けられるサービスの質や利用可能な施設に大きな影響を与えています。例えば、大阪市と地方都市では、介護保険料が異なるため、サービス内容や選択肢にも違いが生じます。お金がかかる地域では高齢者が必要なサービスを探すのが難しく、利用率にも差が出るのが現実です。また、医療との連携も地域によって差があるため、十分なサービスを受けられない場合も多いのが現状です。
介護保険の地域区分とは
介護保険の地域区分は、サービス提供の基準を決定する重要な要素です。地域によって基準が異なるため、同じサービスを受けるにも、生活環境に応じた特別な条件が求められることがあります。例えば、人口密度が高い地域では、より多くのサービスを提供する必要がありますが、その分保険料も増加します。逆に、人口が少ない地域ではサービスが少ないため、保険料においても低く抑えられることがあります。このような地域区分による影響を考慮することで、高齢者がどのような介護サービスを受けることができるのか、また自治体がどのように支援しているかを理解できるようになります。
出典:厚生労働省 地域区分(PDFファイル)
地域差を乗り越えるための取り組み
地域包括ケアシステムで解決する介護の課題
■地域包括ケアシステム
団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差が生じています。
地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。出典:厚生労働省 地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムは、地域の特性に合わせた介護を支援する画期的な制度です。高齢者が必要なサービスを簡単に受けられるようにするために、多くの自治体で導入されています。このシステムを通じて、医療、介護、福祉の3つの分野が連携しあい、高齢者の生活を最大限に支援することを目指しています。また、地域の住民がどのようなサポートを受けられるかを明確にして、必要に応じた手続きを行うことができ、このような新しい試みが地域差を乗り越える一助と言えるでしょう。
成功事例から学ぶ地域における介護対策
成功事例から学ぶことは、地域の介護対策を強化するために非常に重要です。例えば、地域の特性を活かした「地域住民による高齢者支援ネットワーク」を構築した自治体があります。このネットワークにより、高齢者が必要な支援を受けやすくなり、利用者の満足度も向上しました。こうした成功事例を参考にすることで、地域差を縮小して高齢者が安心して暮らせる環境を作るためのヒントが得られるのではないでしょうか。
今後の介護サービスと地域差について
介護事業者が抱える地域差の課題とその取り組み
介護事業者は地域差の影響を直接受けるため、各地域で異なった課題を抱えています。たとえば、都市部では高齢者が多く、サービスの供給が追いつかない状況がある一方、地方では人口減少に伴い、事業が維持できなくなるケースも見受けらるようですね。事業者はこうした状況をふまえて、高齢者の実情に合ったサービスを提供するための工夫が求められますが、例えば、福祉用具の貸出や移動支援サービス、地域に特化した見守りシステムを構築するなど、地域差を理解したサービス提供体制が必要なのでしょう。
地域サービスを充実させる新たなアイデア
地域サービスを充実させるためには、新たなアイデアが重要だと思います。例えば、地域の住民によるボランティア活動を推進し、高齢者を支える仕組みを作り上げることが考えられます。また、IT技術を活用した介護支援システムの導入や、SNSを使った情報交換の促進も効果的です。地域に密着した新しい発想によって、地域サービスの質が向上し、格差を克服するための土壌が形成されることが期待されると言えます。
介護の格差は地域だけではなく、介護事業者やケアマネージャーなど、人によって変わることもあるので、それぞれに適した介護が受けられるようなシステムになれば良いですね。