介護のこと

在宅介護における3つの問題

shos-homecare

高齢者の両親を在宅で介護する場合に直面する問題は多くありますが、ここでは私の感じる大きな3つの問題点を考えてみたいと思います。

お金の問題

家族の介護が必要でも何の補助もない

先ず、私のように母親の介護をするために離職した場合でも、介護保険などで公的に助けてくれる制度はありません。(※注)定期的な収入や資産がなく、どうしても働けない状況である場合は失業給付金や生活保護が対象になると思いますが、いずれも対象になる場合にはそれなりの事情と証明が必要になってきますね。

現在の制度では、ケガや障がい、寝たきりなどで常時そばに誰かが居なければいけない場合でない限りは、生活を補助してもらえる制度は存在しません。尚、介護休業や介護休暇などは、あくまでも会社に所属して就業しながら、家族の介護をフォローしてもらえる制度になります。

例えば、実家から離れて暮らしていたが、実家の両親のどちらかが他界して、一人になったので誰かが面倒を見なければいけなくなったので、自己都合で退職した。この場合は、おそらくですが、普通に自己都合で退職した人と同じ扱いになると思いますし、失業給付はもらえますが、待機期間があり給付日数も90日となるでしょう。また、ハローワークに対して「今は、父の面倒を見たいので、仕事の紹介があってもすぐに応えられない」などと言ってしまうと就業する意思がないと判断されて、失業給付金すら貰えなくなる場合もあります。

(※注)家族介護慰労金と言う制度がありますが、年額10万円程度で限られた条件があります(年額は自治体による)

あわせて読みたい
仕事と介護の両立
仕事と介護の両立

働きながら、何とか在宅介護できる環境を作るしかない

私の母のように、何とか歩けて自立出来ている部分は多いが、食事や排せつの介助などが必要なこともあるという場合は、何かを犠牲にして生活する方法を見つけるしかないと感じます。例えば、食事は食材を買っておいたり、作り置きを冷蔵庫に入れておけば何とかなるでしょう。母の場合は、視力が弱く電子レンジが使えませんので、昼食だけヘルパーさんにお願いしていました。ただ、それでも色々と用意したりする時間は必要ですし、時間が限られているので、場合によっては満足な食事時間が取れない日もあったようですね。

あとは、家で何が起ころうが冷静に受け止めて、自分の出来る範囲でやっていくしかないと思います。この点については、自分自身も仕事をしているときは、そう割り切っていました。

あわせて読みたい
母親を介護するということ
母親を介護するということ

家族の問題

誰が、いつ、どの程度の介護をするか

私の場合は独身なので、必然と一人で介護をするようになりましたが、例えば妻や子供、兄弟と同居している場合(または近くに住んでいる)などは、誰が介護をするかという問題があると思います。以前の職場でも、高齢で一人暮らしの母親のことを思い、奥様に同居の相談してみたところ猛烈に反対されたようで悩んでいる人がいました。

これについては、都心部と地方では住宅事情も違うでしょうし、生活習慣も異なるので一概には言えませんが、奥様にしてみると「他人の親の面倒を見る」という感覚なのではないでしょうか。逆に、奥様が自分の母親の面倒を見るために、実家に帰ってご主人と別居しているという人もいました。

現代の日本は、長寿国家と言われてはいますが、健康寿命が大きく伸びでいるわけではないので、長生きして健康でいられる時間は、それほど多くないのかも知れません。

必ず、誰かが負担をすることになる

介護区分や介護に関わる時間によるとは思いますが、いずいれにせよ家族の負担が必要になるので、まだお互いが元気でいるときに介護計画を立てておいたほうが良いでしょう。例えば、急に病気で動けなくなった場合などは、あらかじめ誰がどんな役割かを決めておくことで、スムーズに介護へ移行できる状況になると思います。

また、別居している親族であっても、普段から介護される人とのコミュニケーションが取れていることが重要で、たとえ親兄弟であっても「あの子には介護されたくない」などという感情があると、問題が大きくなってしまいますね。

あわせて読みたい
在宅介護における家族の負担
在宅介護における家族の負担

自分の問題

自分のやりたいことは出来なくなる

私のようなシニア世代になってくると、人によるとは思いますが「あれもしたい、これもしたい」という感情は少なくなってきますので、介護によって出来なくなることがあっても、大きなストレスになることは無いかも知れません。しかし、40代~50代の働き盛りの人や、ヤングケアラーの場合は、まだまだ自分の人生で大事な事、やりたいことがあるにも関わらず介護を優先することによって、人生設計が狂ってしまうことは少なくないでしょう。

ある程度、自分優先で考えること

親の介護をしていると、どうしても優先されるのは親のことになってしまいますが、それはそれで仕方ないことなのです。でもやはり、心のどこかにストレスが溜まっていくのは間違いないと思いますので、常に自分のことを優先できる環境を作ってみることから始めてみるのはいかがでしょうか。

例えば、食事は自分の好きなものを優先するとか、家事でも「今日はやりたくない」と思ったことはやらないなど、ある程度は自分に甘くなることは非常に大事なことだと思います。

必ず誰かに相談する

介護で悩んだ時、自分ひとりで解決できることは意外と少なく、やはり誰かに相談することで「なんだ、そんなことだったのか」と思うこともあります。母も90代半ばになっているので、会話も聞いてあげるだけになりがちで、耳が遠いこともあり自分から色々な話をすることが少なくなってきました。たまに、誰かと話すことがあると、ものすごくおしゃべりになっている自分に、心の中で笑ってしまうこともありますね。

あわせて読みたい
離職をして感じたこと
離職をして感じたこと
記事URLをコピーしました